第3回 巡査の居る風景

「巡査の居る風景-1923年のあるスケッチ」中島敦

https://www.eonet.ne.jp/~log-inn/nakajima/junsa.htm


日本人二人、韓国人二人でこの作品について語る二時間。いろいろな発見と驚きがありました。


漢字が多く、全体的に硬い印象を与える日本語文章が、韓国語版ではかなり読みやすい現代風。日本語と韓国語版で受ける感じが(当たり前かもですが)違うのですよね、とても興味深かったです。


京城(現在のソウル)に住んだ経験を持つ日本人が、朝鮮の人々を主人公にして書いた作品はほぼないと言っていいでしょう。中島敦は龍山エリアに住んでいましたが、学校は現在の慶熙宮(キョンヒグン)にあった京城中学校に通っていました。通学途中にいろいろな風景を見ていたと思います。当時、日本人が日本人町と朝鮮人町を行き来することって思っている以上になかったのかもしれません。作者が置かれていた環境、当時の時代背景、支配者側と被支配者側のやりとり、作品に出てくる日本人・朝鮮人以外の外国人(中国人・ロシア人)について気になることなどを話し合いました。


>甃石には凍った猫の死骸が牡蠣のようにへばりついた。その上を赤い甘栗屋の広告が風に千切れて狂いながら走った。

>支那人の阿片と蒜の匂い、朝鮮人の安煙草と唐辛子の交ったにおい、南京虫やしらみのつぶれたにおい、街上に捨てられた豚の臓腑と猫の生皮のにおい、それ等がその臭気を保ったまま、此のあたりに凍りついて了って居る様に見えた。


中島敦はめまぐるしい色彩とさまざまな臭い(匂い)でもって当時の京城を描きました。現在のソウルを見たらどう感じるでしょうか、気になります。


3回目の読書会は臥龍洞のノーステラス1階にあるカフェにて。

読書会が終わり外に出ました。路地をしばらく歩いて大通りへ、昌徳宮が目の前に現れました。1930年代、このあたりはどんな雰囲気だったのかななんて思いながらバスに乗りました。



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